「世田谷区に家を建てたい」
そう思った瞬間、あなたは東京で最も複雑な土地選びに足を踏み入れることになります。
世田谷区で30坪の土地を買うには、平均で約7,190万円が必要です。
杉並区(約6,340万円)より850万円も高い。これが「世田谷ブランド」の値段です。
しかし、本当に怖いのは価格だけではありません。
世田谷区には、「成城」「二子玉川」のような誰もが憧れる高級住宅街と、「道幅が狭すぎて車が入れない」「建築条件が厳しすぎて思った家が建たない」密集エリアが混在しています。
後で紹介するデータでは以下のようなことが分かります。
最も高いエリア:北沢2丁目(坪819万円)
最も安いエリア:喜多見1丁目(坪96万円)
価格差:8.5倍
「世田谷区」と一口に言っても、坪100万円を切るエリアから、坪800万円を超えるエリアまであるのです。
この記事では、国土交通省の地価公示データ26年分(2000〜2025年)を独自に分析し、以下の疑問に答えます。
世田谷区の地価は、この26年でどう変わったのか?
「ブランドエリア」と「穴場エリア」はどこか?
あなたの予算で、世田谷区のどこに住めるのか?
そして、世田谷で土地を買う前に絶対知っておくべき「道路の罠」とは?
SUUMOの物件リストを見る前に、まずこの記事で「世田谷区の真実」を知ってください。
グラフ解説26年間で地価はどう動いたか?
まずは、世田谷区全体の地価推移を見てみましょう。

青い線が世田谷区全体の「平均坪単価」、薄い青の帯が「区内の価格幅(最安〜最高)」を示しています。
26年で+41.1%上昇
2000年時点と比較して、世田谷区の平均地価は約4割上昇しています。
杉並区(+52.6%)ほどではありませんが、それでも「待てば下がる」という期待は幻想だと分かります。
価格帯の幅が極端に広い
グラフの「薄い青の帯」に注目してください。
最高値(北沢・玉川エリア)と最安値(喜多見・宇奈根エリア)の差が非常に大きい。これが世田谷区の特徴です。
「世田谷区の平均は坪239万円」と聞いても、実際に買える土地は坪150万円かもしれないし、坪500万円かもしれない。平均値がほとんど参考にならないのが世田谷区なのです。
ランキング世田谷区の「高い土地」vs「穴場な土地」
世田谷区の地価は「平均」で語っても意味がありません。エリアごとの格差を正確に把握することが、土地選びの第一歩です。
坪単価が高いエリアTOP10(ブランド・商業地)
まずは地価が高いエリアです。「駅前商業地」と「歴史あるブランド住宅地」が混在しています。
世田谷区 坪単価ランキングTOP10
「二子玉川バブル」の影響
2010年代以降、二子玉川エリアの再開発により、玉川・瀬田・上野毛といった周辺エリアの地価が急上昇しました。
ランキングを見ると、玉川3丁目は26年間で+164.5%という驚異的な上昇率。2000年時点で坪216万円だったエリアが、今では坪571万円です。
一方、区の西側(喜多見・宇奈根など)は比較的穏やかな推移。「どのエリアを選ぶか」で、将来の資産価値が大きく変わるのが世田谷区の現実です。
世田谷区 値上がり率ランキングTOP10
1位:北沢2丁目(坪819万円)
下北沢駅の目の前、商業地です。ここは「住む場所」というより「店舗やビルを建てる場所」。一般の戸建て用地としては参考外にしてOKです。
注目すべきは「玉川3丁目」(坪571万円・3位)
二子玉川駅から徒歩圏内のこのエリアは、26年間で+164.5%という区内トップクラスの上昇率を記録しています。再開発の恩恵を最も受けたエリアであり、「資産価値が落ちにくい土地」を求めるなら有力候補です。
もう一つの注目:「成城」がTOP10に入っていない
意外かもしれませんが、「成城学園前」で有名な成城エリアはTOP10圏外です。理由は、成城は「駅前商業地」ではなく「純粋な住宅地」だから。商業地のような爆発的な坪単価にはなりませんが、その分安定した資産価値を持っています。
坪単価が安い「穴場」エリア(コスパ重視)
次に、これから家を建てる方が最も注目すべき「穴場エリア」です。
世田谷区 穴場エリア(坪200万円以下)
1位:喜多見1丁目(坪96万円)
世田谷区で唯一、坪単価100万円を切るエリアです。30坪の土地なら約2,880万円。区の平均(7,190万円)の半額以下で手に入ります。
なぜこんなに安いのか?
理由は「立地」です。喜多見は世田谷区の最西端、小田急線の喜多見駅が最寄りですが、駅から徒歩15分以上かかるエリアも多い。また、隣は狛江市で、「世田谷区のイメージ」とは少し離れた雰囲気です。
しかし「悪い土地」ではない
喜多見・宇奈根エリアは、多摩川に近く緑が多い閑静な住宅街です。ハザードマップで浸水リスクを確認する必要はありますが、「世田谷区アドレス」を維持しながら、建物に予算を回したいという方には最適な選択肢です。
世田谷区はバス社会
杉並区との大きな違いがここです。世田谷区は鉄道駅から離れたエリアが多く、バス路線が非常に発達しています。
「駅徒歩15分」と聞くと遠く感じますが、実際には「バスで10分、渋谷まで30分」というエリアも多い。駅距離だけで土地を判断すると、掘り出し物を見逃します。
この喜多見エリアに関する記事はこちらから
【予算別】あなたの年収・予算ならどこに住める?
「高いエリア」と「安いエリア」が分かったところで、いよいよ「あなたにとっての正解」を見つけましょう。
土地の広さを「一般的な30坪」と仮定した場合の、予算別おすすめエリア早見表です。
世田谷区 予算別エリア早見表(土地30坪目安)
予算6,000万円未満(土地代)
狙い目エリア: 喜多見、宇奈根、鎌田など
現実:
杉並区では「6,000万円未満」は選択肢が多いゾーンでしたが、世田谷区では「かなり限られる」ゾーンです。
候補は区の西側(小田急線沿線の端)に集中します。「世田谷区」というアドレスは手に入りますが、生活圏は狛江市・調布市に近くなります。
戦略:
この予算帯で世田谷区にこだわるなら、「バス便の利便性」を徹底的に調べましょう。喜多見エリアは成城学園前駅や二子玉川駅へのバス便があり、意外と移動に困りません。
予算8,000万円未満(土地代)
狙い目エリア: 船橋、南烏山、桜丘、桜上水など
現実:
世田谷区の「ボリュームゾーン」です。44エリアが該当し、選択肢が一気に広がります。
ただし、人気エリア(桜新町、用賀など)では30坪確保が難しく、25坪程度の3階建てを覚悟する必要があるかもしれません。
戦略:
「30坪で2階建て」にこだわるなら、駅から少し離れたエリアを狙う。「駅近」にこだわるなら、土地を小さくして建物で工夫する。このトレードオフを意識してください。
予算1億円未満(土地代)
狙い目エリア: 深沢、下馬、用賀、上野毛、瀬田など
現実:
世田谷区の「本命エリア」が見えてくる予算帯です。
用賀、上野毛、瀬田といった東急田園都市線沿線の人気エリアが射程圏内に入ります。駅徒歩10分圏内で30坪を確保することも現実的になります。
戦略:
このゾーンは「将来の売却」も視野に入れた土地選びが重要です。資産価値が落ちにくいエリアを選べば、住み替え時に損をしにくいというメリットがあります。
予算1億〜1.5億円(土地代)
狙い目エリア: 等々力、三軒茶屋
現実:
世田谷区の「頂点」が見えてきます。
等々力は渓谷で有名な高級住宅街、三軒茶屋は渋谷まで2駅という抜群の利便性。どちらも「世田谷区で最も資産価値が高いエリア」の一角です。
戦略:
この予算帯では、土地だけでなく「どんな建築家・ハウスメーカーと組むか」も重要になります。土地のポテンシャルを最大限に活かす設計ができるパートナー選びが、満足度を左右します。
【重要】世田谷区で土地を買う前に知るべき「道路の罠」
ここまで読んで、「よし、予算に合うエリアが分かった。あとはSUUMOで探すだけだ」と思ったかもしれません。
ちょっと待ってください。
世田谷区には、杉並区や他の区にはない「独特の落とし穴」があります。
それが「前面道路」の問題です。
世田谷区は「道が狭い」
世田谷区は、戦前から宅地開発が進んだ歴史があります。その結果、区内の約40%が「幅員4m未満の狭い道路」に接していると言われています。
これが何を意味するか?
「セットバック」という制度があります。建築基準法では、道路幅が4m未満の場合、道路の中心線から2m後退した位置までしか建物を建てられません。
つまり、「30坪の土地を買ったのに、実際に使えるのは25坪だった」ということが普通に起こるのです。
実際にあった失敗例
「世田谷区で30坪・坪200万円の土地を見つけた。総額6,000万円、予算内だ!」
そう思って契約寸前まで進んだAさん。しかし、建築士に相談したところ、こう言われました。
「この土地、前面道路が3.2mしかないので、セットバックで約3坪削られます。実質27坪ですね」
さらに追い打ち。
「道が狭いので、建築時に大型トラックが入れません。資材の小分け搬入が必要になるので、建築費が150万円ほど割高になります」
結局、Aさんは「土地代6,000万円+建築費の割増150万円+実質面積の目減り」というトリプルパンチを食らいました。
「旗竿地」にも要注意
世田谷区には「旗竿地(はたざおち)」と呼ばれる土地も多くあります。
道路に面している部分が細い通路になっていて、奥に広い敷地がある形状の土地です。
旗竿地は相場より安いことが多いですが、以下のリスクがあります。
日当たり・風通しが悪くなりやすい
駐車場を作れない、または作っても出し入れが困難
将来、売却しにくい(買い手が限られる)
「安い!」と飛びつく前に、なぜ安いのかを必ず確認してください。
世田谷区で土地を買うなら「必ずやるべきこと」
前面道路の幅員を確認する(4m以上あるか?)
セットバックの有無を確認する(実際に使える面積は何坪か?)
建築士やハウスメーカーに「建築費の概算」を出してもらう
車を使うなら、実際に現地で車が通れるか確認する
これらを土地を契約する前にやることが、世田谷区で失敗しないための鉄則です。
まとめ|世田谷区で土地を買うなら「事前シミュレーション」が9割
ここまでの内容をまとめます。
項目数値30坪土地の平均予算約7,190万円最高値エリア北沢2丁目(坪819万円)最安値エリア喜多見1丁目(坪96万円)価格差8.5倍26年間の上昇率+41.1%
【世田谷区で失敗しないためのポイント】
- 「世田谷区」と一括りにしない → エリアで価格差8.5倍
- 駅距離だけで判断しない → バス便が発達している区
- 「安い土地」には理由がある → 前面道路・セットバック・旗竿地を確認
- 平均坪単価は参考にならない → 自分の予算で買えるエリアを特定する
次にやるべきこと
世田谷区の土地探しは、「情報戦」です。
SUUMOやアットホームで物件を探す前に、まずやるべきことがあります。
それは、「自分の予算で、どのエリアに、どんな広さの家が建つのか」をシミュレーションすることです。
いきなり不動産屋に行くと、営業マンのペースに乗せられます。住宅展示場に行くと、予算オーバーの提案をされます。
そうなる前に、自宅で、匿名で、「土地+建物の総額シミュレーション」をしておく。
これが、世田谷区で家を建てる人が最初にやるべき「賢い防御策」です。
土地を決める前にやっておくこと
大事なのは「土地の広さ」じゃなく 「どう暮らしたいか」
まずはAIで理想の間取りを描いてみる。リビングは何畳ほしい?書斎は必要?駐車場は?
その間取りが、気になるエリアの土地に収まるかどうか。順番はそっちが先です。
※土地が決まっていなくてもOK。「世田谷で気になる物件があるんだけど…」くらいの段階で使えます。
📩 届くのは「自分だけの間取り図」と「概算費用」
3分で理想をカタチにして、「これ、世田谷で建つかな?」を確認するだけ。
気に入らなければ何度でも作り直せます。



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